2015年5月11日月曜日

【農家さん向け情報】県発表 台風6号対策について

 ヒメノです、いつもすいません。
滋賀県より台風6号が接近しているとのことで、技術情報をおつなぎ致します。

以下県発表内容引用******************


 
 台風6号は、5月11日9時50分現在、台湾とフィリピンとの間にあるバシー海峡にあり、12日9時には奄美大島の南南西約90km、その後は速度を速め13日9時には三陸沖に達し、12日夕方から13日未明にかけて近畿付近に達すると予想され、本県に接近する恐れがあります。

 農作物等の被害を最小限に抑えるため、万全の対策を講じるよう指導してください。

 なお、対策の詳細については、「主要農作物気象災害対策の手引き」、「農作物病害虫雑草防除基準」を参照してください。

 また、ほ場や施設の点検は、事故防止の観点から台風情報を十分確認し、大雨や強風が治まってから行うよう指導してください。

 

【水稲】

1.台風通過前の対策

  ①できるだけ、苗先が水没しない程度の深水管理を行い、強風に備える。

②事前に排水路の詰まり等の点検・補修を行い、冠浸水時の速やかな排水に備える。

③除草剤の散布は、多雨によりオーバーフローすることが懸念されるので、台風通過後に行う。

 

2.台風通過後の対策

 ①冠水した場合、葉先だけでも水面に出すよう速やかな排水に努める。

 ②台風前に除草剤を散布している場合は、大雨・強風により効果が劣る場合があるので、田面をよく観察し、残草がある場合は中・後期剤を散布する。

 

【麦類】

1.台風通過前の対策

  事前に排水路の詰まり等の点検・補修を行い、冠浸水時の速やかな排水に備える。

 

2.台風通過後の対策

 ①冠水又は浸水の被害を受けたほ場においては、速やかな排水に努める。

②倒伏や赤かび病等が発生しているほ場は、健全なほ場と分けて収穫・乾燥調製を行うことができるよう体制を整えておく。

 

【野菜】

Ⅰ施設野菜(雨よけを含む)

1.台風通過前の対策

 ①パイプハウスが耐えられる風の強さは、風速25m程度(アーチパイプ25mmφ、50cmピッチ、間口6.0m)で、補強パイプを入れた通称コンクラハウスでも風速32m程度と考えられる。内作に影響がなければ、フィルムは除去しておく。内作がある場合はハウスを密閉し、隙間や破れ、緩みを点検し補修する(ハウスバンドの締め直し、バンド固定用のパイプや番線、らせん杭の点検、フィルムの補修、ドアの補強等)。

 ②換気扇があるハウスでは、出入口を密閉して換気扇を稼働させ施設内を負圧にする。

 ③風圧を弱める対策として防風ネットをハウスの軒高と同じか高いくらいに設置する。

 ④パイプ埋め込み部分が水で緩くならないよう、ハウス周囲の排水溝を点検して手直し  する。

 ⑤強風により、資材・木片・小石等が飛来して被覆資材が破損しないように、施設周辺  を清掃しておく。

 ⑥生育中の野菜がない簡易パイプハウスなどでは、被覆資材を巻き上げて軒の部分にくくり付ける。

 ⑦鉄道沿線や幹線道路沿いのハウスは、フィルム等が飛散し、2次的な大事故の原因と  ならないように十分に注意する。

 

2.台風通過後の対策

 ①速やかにほ場の排水を行い、停滞水のないようにする。

 ②吹き返しの風の強さや方向に注意しながら、ハウスサイド・天窓の解放を行って、施設内温度をできるだけ早く降下させる。

 ③茎葉に付着した泥などは、速やかに水で洗い流し、殺菌剤を散布する。また、茎葉の被害を受けた場合は、細菌病などの病害が発生しやすくなるため被害株や被害葉を除去し、防除を徹底する。

 ④野菜や苗等のしおれが甚だしい場合は、寒冷紗やべたがけ資材等を被覆して、植物体の温度の低下と蒸散の抑制を図る。

 ⑤草勢を回復するため、台風通過後に液肥の葉面散布・追肥を行う。また、土壌表面が  固まっている場合は軽く中耕する。

 

Ⅱ露地野菜

1.台風通過前の対策

 ①排水溝をさらえるなど排水対策に努める。また、排水口は必ず作っておく。

 ②収穫中の野菜は、早めの収穫を行う。

 ③播きつけ直後のものは、種子の露出を防ぐために寒冷紗等で被覆する。

 ④植付け直後のものは、台風前に土寄せや土入れ、寒冷紗等で被覆を行い、株の揺れを防ぐ。

 ⑤風速が強くなる場合は、事前に誘引ネットやテープを切って、畝の上におろし、上か  ら防風ネットや寒冷紗等で押さえ、株が動かないように固定し、台風の通過後に復元する。

 ⑥ほ場周辺に防風ネットなどを設置する。

⑦鉄道沿線や幹線道路沿いほ場では、トンネルのフィルム等が飛散し、2次的な大事故の原因とならないように十分に注意する。

 

2.台風通過後の対策

 ①速やかにほ場の排水を行い、停滞水のないようにする。

 ②被覆資材で被覆している場合には、できるだけ早く除去し、植物体に付着した泥を水で洗い流し、殺菌剤で病害を予防する。

 ③風雨で損傷を受けた場合は、殺菌剤を散布し予防に努める。

 ④支柱を立て直し、誘引する。

 ⑤株元が露出したり土壌が固まっていたら、天候の回復を待って株元へ土寄せを行い、  畝全面を軽く中耕して通気性をよくする。

 ⑥豪雨により肥料の流亡が考えられる場合は、速効性の窒素やカリ肥料を追肥する。

 ⑦草勢の回復を図る場合は、薄い液肥の施用や葉面散布が効果的である。

 

【果樹】

1.台風通過前の対策

 ①幼木や品種更新のために高接ぎしたものは、支柱を立て枝折れが起こらないよう主枝  枝や幹をしっかり誘引し固定する。

  ②ナシ、ブドウ、キウイフルーツなどの棚栽培する果樹は、強風が棚面をあおって被害が大きくなるので、太い棚線の交差部分に重さ2kg程度のおもりをぶら下げて上下動を少なくする。棚線や支柱の強度、欠損箇所を確認し、支柱を増やしたり、棚線を張り直して緩みをなくすなど、棚自体を補強する。防風、防虫ネットを設置している園ではネットの結び目等を確認する。

  ③ハウス栽培では、控え線やハウスバンドを締め直し、ビニールの張りを点検する。

   また、ハウスの周辺から物が飛んできて破損することがないように見回り予防する。  強風時はビニールを張って完全密閉し、換気扇がある場合は稼働させハウス内を負圧  にし、ビニールのばたつきを少なくする。

  ④ハウスの強度を上回る強風が予想される場合は、天窓やサイドの換気部分を全開にし  て、ハウスの上部と妻部分のビニールを外すか破り、ハウス本体が倒壊破損しないよ  うにする。

⑤事前に排水路の詰まり等の点検・補修を行い、冠浸水時の速やかな排水に備える。

 

2.台風通過後の対策

 ①風雨で損傷を受けた場合は、傷口から病気の感染の恐れがあるので、殺菌剤を散布して予防に努める。

  ②倒木した場合は速やかに起こし、支柱などにくくりつける。枝が裂けた場合は傷口を  合わせ結束する。折れた場合は切り戻し、癒合剤を塗布する。

  ③速やかにほ場の排水を行い、停滞水のないようにする。

 

花き】

1.台風通過前の対策

 ①施設に対する対策は野菜に準じる。

 ②降雨が速やかに排水されるように、排水溝をさらえるなど排水対策を講じる。

 ③露地で小菊の密閉挿し等の育苗をしている場合で、移動が可能な場合は、風雨の当たらない場所に移動させる。

 ④マルチ栽培の場合、マルチが風であおられないよう、マルチ押さえの確認を行う

 

2.台風通過後の対策

 ①停滞水が生じないように、速やかな排水に努める。

②マルチ栽培の場合、マルチの点検を行う。風でマルチに入り込んだ苗は、速やかにマルチ穴に戻す

 ③病害が発生しやすくなるので、折れた茎葉を除去し、殺菌剤等の薬剤散布等により、病害の発生抑制に努める。

 

【茶

1.台風通過前の対策

 ①直掛け被覆を行っている茶園では、風ずれにより一番茶芽が傷つくため被覆を取り外すか、収穫直前の茶園では摘採を早める。

2.台風通過後の対策

 ①直掛け被覆を行っている茶園では、風ずれにより一番茶芽が傷つくためその程度を確認し収穫を判断する。

  ②幼木園で、株元の土が流亡したり、茶樹が横倒しになっている場合は、速やかに土寄  せを行い踏み固める。

③茶園見回りの際は危険な場所には近づかず、安全に十分注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行う。

 

【畜産】

1.台風通過前の対策

 ①畜舎等の施設に雨、風が吹き込まないように、入り口や窓をしっかり閉めておく。

  弱い部分は強風で破損しないよう補強する。特に、ハウス等の簡易な施設は、支柱や  ビニール押さえのバンドを増やし、カーフハッチ、防暑用の資材などは飛ばされない  よう対応する。また、吹き込んだ雨で飼料等が濡れないよう畜舎内を整理しておく。

 ②飛来物による施設等の損傷を防ぐため畜舎周辺の整理に努める。浸水のおそれがある  場合は、堆肥舎に水が流れ込んだり、ふん尿が流れ出さないよう土のうを置く。

 ③飼料作物の栽培ほ場は、排水を徹底しておく。

 

2.台風通過後の対策

 ①畜舎に雨が吹き込んだ場合は、風通しを良くし、乾燥に努める。特に湿った敷き料は  に速やかに交換する。

 ②飼料作物栽培ほ場は、滞水しないよう速やかに排水を行う。滞水により発芽不良を起  こした場合は、排水後に早めに播き直しを行う。